始めて対位法を習う人は、まず「対位法ってなんだ」という疑問をもつと思います。
「対位法」Kontrapunktという名前はラテン語に由来していてpunctum contra punctum(音符たい音符)という意味から来ています。
西洋音楽は、普通いくつかの音が同時に鳴っています。多声楽曲の独立して響いている声部を秩序立てる方法として、一つには和声法がありますが、対位法も同じ目的を持っています。
和声法では各声部を和音の構成音として扱いますが、対位法では各声部の流れを重要視します。つまり対位法では多くの声部が気持ちよく正しい和声を響かせる法則を学ぶだけでなく、同時に各声部が美しく旋律的に流れ、かつ独立性を持つような技法を学ぶことになります。
最高の技術的完成度を印象付ける作品の作曲は対位法の技巧なしには考えられないものです。
対位法の技術を身につけるためには基本的法則を完全にマスターするだけでなく、長い期間の実習を必要とします。この実習はJ.Jos.Fux(原論1725年発行)いらい実践されてきた手法によって、その目的を達することができます。その後の教科書も200年前にフックスが基礎を築いた著作の後塵をあいするに止まっています。
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