弦楽四重奏はただ弾いていても楽しいのですが、演奏会などで弾こうとすると、どのように曲をまとめてゆくかを考えなければなりません。
ちょうど、皇帝を演奏するんだけどというグループから相談を受けました。問題は「全体を通して弾くことはできるし、きっちり合わせるということや、音程は直せるが、音楽をどのように作るかがわからない」というものです。
以下はそのときのスタディをまとめたものです。
8小節位の歌でしたら、どのように歌いたいかは、歌っているうちに決まってきます。曲名や歌詞の助けがありますので、国家と愛の歌を間違えることはありません。規模の大きな器楽曲になるとなにをどうすればよいか分からなくなってきます。
それならば、分けてゆけば良いのです。ということで、一番下に示した楽譜に示すように、分けてもらいました。
すこし長いですが掲載します。@、A、、は実際に分けてもらったときの数字で六つに分割されました。
次にAの部分は@にくっつくか、Bにくっつくか(従属性)、それとも独立しているかを考えて、まとめてもらいました。その結果、三部分にまとまりましたが、さらに考えると結局はA,Bの2部分に落ち着きました。
次にまとめる過程での彼の意見を示します。
@は主題をはっきり打ち出しています。
Aはそれにリズムの要素が加わって発展しています。
@とAの関係は緊密でこの二つを合わせてきっちりと人纏まりになるように演奏します。終わったら一休みがあってもおかしくないでしょう。
BはCにつながって行く部分です。@、Aのきっちりした感じとは別ですこし自由な感じでありファーストヴァイオリンの聞かせどころもあります。聞かせどころを重視するか、主題の要素を強調するかは後で考えます。(彼はここをAの従属する部分と捕らえていました。)
Cは独立した新しい部分です。(第二主題であることは後で説明しました。)はっきりと提示するということでした。
Dは@の部分が混じりこんだ微妙な部分ですので効果的な演奏法をじっくり考える。
EについてはCと殆ど同じだけれどもEの方がより印象的に演奏したい。しかしCでもはっきり提示しているので何か工夫が必要。
以上の作業で、曲の細分化された部分に目標ができましたから、歌で言えば歌詞が付いたようなものです。ここまで纏まればもう終わったようなものです。
全体的にはA部分とB部分に分けて曲は把握するということになりました。
各部の働きと目的は分かったんですが、それをどうやって表現すれば。
自分で考えてよ!と突き放しましたがお話の続きはまたそのうち。
弦楽四重奏などを一声に還元してみることは曲の理解上重要です。作曲家が発想した段階でもまず書き留められるのはほぼ一声部ですから。以下長いですけどご覧ください。お聞きください。
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以上
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