異名同音的転調はある調の専属和音または変化和音をエンハルモニッシュのかきかえによって他の調の専属和音または変化和音に転義しておこなう転調のことをいいます。
音:
上の例のようにエンハルモニッシュの転調はたいてい半音階的要素が含まれます。
次に異名同音的転調に応用される和音をニ三上げます。
上の例のようにC,E,Gis(As)を調専属和音とみなす場合にはa-moll,f-moll,cis-mollに転義して導くことができます。
しかしC,E,Gis(As)を変化和音として応答すれば、下の例のようにもっと広い範囲の転調に応用できます。
長三和音を六の和音にして、それをナポリ六の和音に転義することができます。これにより任意の長三和音から半音下の短調または長調に転調することができます。
次の例はa)を拡大したものです。
ナポリ六の和音による転調を重ねると次のような例ができます。
減七はいろいろの調の間に色々な方法で応用されます。エンハルモニッシュな転調では重用されます。
まず、減七を出発調の専属和音で転義すると次のような転調が可能になります。
上の例に示したような突然の転調による対斜てきな、美しくない響きは次の例に示すような目的調を暗示する経過音や掛留による転義の引き伸ばし、モティーフの反復進行的繰り返しなどによって和らげることができます。
増五六の和音および同じ響きである増三四の和音は同時にその半音上のDurまたはMollの属七の和音とも同じ響きです。
例えば下記の増五六の和音はh-mollに解決し、増三四の和音はH−durに解決します。
この和音はもちろんハ長調の属七の和音と書き直すこともできます。
そこで、ある和音の属七の和音から増五六の和音を用いて半音低い調(Dur,Moll)に導入することができます。
このほか属七の和音をI度の七の和音の第七音の半音低下した和音とみなすことができます。すると長三度上にあるDurまたはMollに直接転調することができます。
戻る