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全音階的転調は専属和音を他の調の専属和音と転義して、それに終止形を加えます。
下記に注意すべき点を述べます。
1)ある調に進む場合には、まず目的調の下属和音の機能をもつ和音(IV,II,増五六、増三四)にゆき、これに終止形をつけるのがもっとも良い。
下属和音として最も明瞭で、かつ強い性質を持ったものはII度の七の和音の第一転回和音 つまり五六の和音です。
2)目的調の下属和音に先立って目的和音のI度またはV度の和音を置くことは避けたほうが良いです。おく必要がある場合には基本位置ではなく六の和音または掛留によってその性質を不明瞭にするほうが良いのです。あとの例で詳しく説明します。
近親関係調は五度圏で隣り合っている調とその関係調という意味です。
例1では第一小節の第二の和音で転義が行われています。つまりC:II=F:VIと考えて終止形に従って次にI度の和音に導き、これにF-durの終止形をつけています。
C-dur>F-durの転調ではもちろん上記以外にもいろいろな方法があります。
例えば
しかし次の例3のようにF-durの主和音にいきなり転義して導くことはあまり効果的ではありません。
例3が良くない理由はC-durの最後の和音がすでにF-durの完備した基本位置の主和音であるので、転調しているという明瞭さと力を欠いてしまうからです。
例3を次のように多少変形して、転義の位置を変更してもやはり良いものとはいえません。
上記の例4のように簡単なときはあまり問題になりませんが、複雑な転調を行うときにはぜひ避けるべきであり、厳密にいって音楽的な転調とはいえません。
調をしっかりと確定するために最後のI度の代わりにVIを導いて重複終止形を付け加える場合もあります。
つまりVI-IV-I6/4-V-Iとします。
例6では最初の和音、つまりC-durのI度をすぐにG-durのIV度と転義してII度の和音を導いたと考えることもできます。
これはC-durがG-duに対して下属調であるため下属和音となり例4の場合とは意味が異なります。
または
例8ではC-durのI度とII度の間にIV度をいれ、これをa-mollのVI度と転義してから、終止形を付け加えることもできます。
またC-durのI度をすぐにa-mollの自然短音階のIII度に転義することもできますが、転調としては多少不明瞭です。
この例では2回転義が行われていますが、これは調性を明瞭にするためであり、C-durのIV度をすぐd-mollのIII度と考えることもできます。
Mollから転調をする場合も、同様の方法を用います。
これは例10の逆です。
この場合にa-mollのI度をすぐF-durのIII度と転義して、a-mollのIV度を経ずに直接第2小節の和音に行くこともできます。
以上で近親関係の転調の説明を終了します。
F-durからC-durの転調は、C-durからG-durへの転調と同じですから応用をしてください。