普通長三和音の第三音が下がり、短三和音の第三音は上がる方向に変化します。その結果、その調に専属しない和音に移ります。
これは長調と短調の一時的な変化でであり、一時的な転調というよりも、単に「音の濃淡」を表現するものです。
音:
これはWechseldominante(ヴェヒゼルドミナンテ)と呼ばれて、これを使用したカデンツを次に示します。
次の例とシューベルトの例(七の和音)を比べると三和音よりも七の和音の方が快い響きがします。
Wechseldominanteの第三音は上昇された音ですから上行すべきですが、このシューベルトの例のように、常に属七の和音の第七音(ここでは2小節目のバスのA)へと半音的に下行する性質があります。Wechseldominanteの性格音(C-durではFis)は根音としてもよく使用されます。(例えば C-durではFis,A,C,E)。まれに五音、七音として使用されることもあります。
これは長調でだけ使用されて、次のようなカデンツができます。
長調のIV度の第三音の下行変化は同名短調への移行となり、短調と長調を混合したカデンツができます。
これをモルドゥア”Molldur"と呼びます。
このMolldurの性格音ではAsはしばしば七音(C-durではH,D,F,As)または五音(D,F,As,C)としても応用されます。
*)第三音の低下が転調もなく次の**)で直接Eに上昇していることがこの場合には性格的特色になっています。
短調のIV度の第三音の上昇は多くの場合旋律的短調とみなされます。(例C2)。しかしこの場合前出(C1)のMolldurに対して”Durmoll"
という考え方ができます。(例:C2,C3)
長調のV度の三和音の第三音の変化は普通用いられません。短調の場合には「短調での三和音の連結」(導音の低下)ですでに説明してあります。
これは長調のみ可能です。
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