ようこそ ゲスト さん | 自由に閲覧できるのは残り 180 秒です。こちらからログインしてください。 |
並進行(Gerade Bewegung)
ニ声部が上方または下方にともに同じ方向に進む場合をいいます。
反進行(Gegenbewegung)
両声部が反対の方向に進む場合をいいます。
斜進行(Seitenbewegung)
一声部のみが動き、他の声部はそのまま同一の音に止まる場合をいいます。
ニ声部が五度または八度の音程を保って並進行する場合を「並行五度」(offenen Quinten)または「並行八度」(offenen Oktaven)と呼びます。
並行五度
並行八度
規則:ニ声部が並行五度あるいは並行八度で進行することは禁ずる
a)
b)
a)はテノールとバスの間が並行五度、バスとソプラノの間が並行八度になっています。(バスとソプラノを外声、テノールとアルトを内声と呼びます。)
b)はアルトとテノールが並行五度になっています。
c)
c)は五度になっている声部が同じ声部ではないので、もちろん並行五度ではありません。
(注記)
1.ピアノ曲にしばしば見られる八度による声部の重複は並行八度とは区別して考えてください。これはある声部を強調するために重複させているのですから意味合いが異なります。
2.完全五度から減五度への並行五度は許されます。ただし順次に下行する場合がもっとも良く、逆に減五度から完全五度への進行は禁じられています。
並行五度および並行八度が禁じられる理由
1.厳格な四声部では各声部は互いに平等です。いまあるニ声部が並行八度の進行をするとその声部は他の声部に対して二倍に強調され、各声部間の均衡を破って四声部としての意義をなくすので、並行八度は禁じられます。
2.五度音程は八度についで最もよく協和するので並行五度も並行八度と同様に四声部均衡の点から避けなければなりません。
(注記)
近代音楽になるとこの特殊な音の響きの効果を利用するためにわざと並行五度が使用されるようになりました。
ニ声部が並進行である音程から五度あるいは八度へ進行することを「隠伏(いんぷく)五度」(verdeckte Quinten)および「隠伏八度」(verdeckte Oktaven)と呼びます。
規則:
I.上声部が順次進行、下声部が跳躍進行してできる隠伏五度および隠伏八度はよい。ただしこのような隠伏八度が根音以外の音を重複して成り立つ場合は避けねばならない。
II.上声部が跳躍し、下声部が順次進行する場合には次の二つの条件を必要とする。
1)両声部がともに外声にあってはならない。すなわち両方またはいずれか一方の声部が内声であることが必要である。
2)同時に外声部が反進行する場合のみ許される。
(上声の跳躍する場合)
III.両声部がともに跳躍する場合は不良である
ただし隠伏五度が同和音のなかで起こる場合、すなわち三和音の位置展開によっておこる場合は例外である。(例c)
(両声の跳躍する場合)
W.五度および八度の解除も跳躍して並進行を避けたほうが良いでしょう。
(注記:並行五度、並行八度は演奏した場合にはすぐ気が付きますが、隠伏五度、八度はかなり清潔な耳を持っていないと分かりません。)
二声部が同じ音になったときに「同音」(Einklang)が生じます。
規則:並進行で同音に達し(隠伏同音)、あるいはこれを解除することは不良である。(例a)) 同音は斜進行あるいは順次的反進行により到達し、あるいは解除するのがもっとも良い(例 b)、c))
次の例はあえて不良とはいえないものの、避けられる時は避けたほうが良いでしょう。
すべての音階の第七音は半音の上昇進行(上行)によって主音に到達しようとする力を持っています。この第七音をその音階の「導音」(Leit-ton)と呼びます。つまりハ長調(C-dur)ではシ(H)の音、イ短調(a-moll)ではGisが導音です。
(注記)
1.自然短音階の第七音には導音としての機能がありません。
2.短音階の第六音は第五音に向かって下行したがる力を持つので下行導音と呼ばれますが、特に指定しない限り導音といえば第七音を意味します。
導音が特に属和音の第三音として上声部にある場合には、順に上昇進行で主音に導くのがもっとも自然です。(例 a))。しかし和声進行の都合により順に下行して第六音に達することもできます。(但し長調に限ります。例b))。これに反して跳躍進行することは同じ和音の連続以外は避けなければなりません。
規則:導音の重複は絶対に禁ずる。
隣接しない音の上にできる三和音は互いに一つまたは二つの音を共有します。これが共有音です。